木材に刻まれた文化
木材の加工技術の基本は『きる・わる・さく』です。
そしてその加工をより高度化するために刃物が工夫されてきました。
しかし皮肉なことに、その技術が足りてない時代の方が、より木材の性質を見抜いて扱い方を知っていたようにみえます。
たとえば立木は切り倒さなければ木材として使えません。
最初の刃物はどのように鈍いものでも切ることに使われていました。
続いて木材は割られますが、古代の鈍い刃物ではノコギリで切るようにはいかず、樹木が生長してきた繊維に沿って割られることになります。
しかし、樹木の繊維はまっすぐには通っていません。
ねじれるようにして生長しているのです。
そして樹種によってもそのねじれ方は違い、松などはねじれが強く、杉は比較的まっすぐに生長します。
道具があまりない時代に、杉は割って裂いてもまっすぐの木材が手に入りやすい樹木でした。
乾燥して、干割れが起きても、繊維に沿って割れます。
この繊維方向を無視して背割りを入れることは、加工できる道具もできた比較的新しい技術なのです。
古材を眺めていると、木材の性質とこれまで加工され、使われ変形してきた歴史を感じることができます。
そして文化的な価値を感じます。
家のどこかに古材を活かしてみるのも良いかもしれませんね。